理事長メッセージ

世界的課題を解決する新しい知を生み出す場所へ

日本、東京の国際競争力を高める人材育成と研究力強化

 2025年度から東京都公立大学法人理事長に就任した中山泰男です。
 本法人は2大学(東京都立大学、東京都立産業技術大学院大学)1高専(東京都立産業技術高等専門学校)を有し、第四期中期計画に則り取組を着実に進めています。
 都立大学では今年度から国際金融人材育成プログラムを開設し、既存の各学科への英語学位プログラムの導入と2028年度の国際系新学部の設置に向けた準備を開始します。産業技術大学院大学では産業技術界の次世代に対応できるDXリーダーを養成する教育プログラムが文部科学省の補助事業に採択されました。また、産業技術高等専門学校ではDCON2024(注)において振り込め詐欺防止のシステム開発が最優秀賞に輝くなど、まさに社会課題の解決に資する取組として成果をあげています。(注)第5回全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2024

 日本が近年、スイスのIMD等の世界競争力ランキングにおいて評価を落とす中、東京は世界の主要都市の総合力を評価する「世界の都市総合ランキング2024」で9年連続3位と高い評価を得ており、まさしく日本経済の牽引者としての役割を果たしています。そして日本経済がようやく長いデフレを脱し、縮小型から成長型へと好循環に乗り始めた今、東京はその牽引者として一層の国際競争力強化を図っていく必要があります。東京には首都が有する集積の力と多様性という大きな強みがあり、ここから生まれるイノベーションの力が、世界における日本の位置づけを高める原動力となります。

 本法人は、東京都が設置した「大都市における高等教育機関」として、その都市力を大いに活用し、国際競争力を高める人材育成と研究力強化に邁進していきます。

 都立大学における国際系新学部の設置は、その梃子になります。日本人学生の海外留学及び外国人留学生をともに大きく増やし、互いに切磋琢磨し世界的課題に対処できるグローバル人材として成長する環境を整えていきます。また、世界を見据えた研究力のさらなる強化を図るため、外国及び日本の優秀な研究者が活躍できる環境も整えていきます。産業技術大学院大学及び産業技術高等専門学校では、内外の変化の激しい環境の下での産業界・金融界の課題やニーズに応えられる即戦力となる高度専門職人材やものづくりスペシャリストを育成するため、都立大学との一層の連携を図りつつ、私がこれまで培ってきたネットワークも駆使し、両業界とのコミュニケーションを活性化していきます。

 私はこうした努力の積み重ねにより、本法人を、世界的課題を解決する新しい知を生み出し、その知を活かして世界で活躍できる人材を輩出する場所、日本及び東京をはじめとする社会の持続的成長を起こし支える教育・研究のプラットフォームとして、社会に貢献していきたいと考えています。

2025年4月
中山 泰男