Page 16 - 東京都公立大学法人 環境報告書2024
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TOPICS 国公立大学初 自然と共生する豊かな社会の実現に向けて ネイチャーポジティブ宣言を発出 近年、気候変動や人間活動の増大が、生態系に深刻な影響を及ぼし、生物多様性の 損失をもたらしています。このような中、世界的にも気候変動対策と生物多様性へ の取組は一体的に議論されており、「ネイチャーポジティブ※1」の実現が掲げられて います。 こうした状況を踏まえ、2024年7月東京都公立大学法人は、危機に直面してい る地球生態系が持続可能な社会の実現に不可欠なものであることを改めて認識し、 その保全、研究、教育活動を行うことを誓約する「ネイチャーポジティブ宣言」を 発出しました。 生物多様性に係る研究については、都立大学の牧野標本館に所蔵されている、牧 野富太郎博士が収集した絶滅した植物を含む膨大な植物標本を活用して、植物の多 様性に関する研究が進められています。また、1968年の小笠原返還以降、小笠原 に研究施設を持つ国内唯一の大学として小笠原諸島の生態系等の調査、研究を実施 しており、その研究成果は2011年の小笠原世界自然遺産登録にも大きく貢献しま した。その他にも、生物多様性情報の利活用や人と自然の多様な関係に関する研究 などを実施しています。 これまで2021年7月に「気候非常事態宣言」を発出し、カーボンニュートラル 推進プランに基づく各種取組を推進してきました。今後は、ネイチャーポジティブ 宣言で掲げた内容も含め、研究成果を社会に還元していくなど、取組を一層推進し ていきます。 国内の大学としては唯一、 気候非常事態宣言と ネイチャーポジティブ 宣言を発出※2 ※1 ネイチャーポジティブ(自然再興)とは、自然を回復軌道に乗せるため、生物多様性の損失を止め、反転させることを意味する ※2 2024年11月時点 15 気候非常事態宣言・ ネイチャーポジティブ宣言 ポスター 東京都公立大学法人 ネイチャーポジティブ宣言 本法人は、危機に直面している地球生態系が、持続可能な社会の実現に不可欠な国際公共財であることを再認識 し、その保全、研究、教育活動を行なうことを誓約し、ネイチャーポジティブ宣言を発出する。 1 ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルなどに寄与する学問研究、法人経営を一層推進する 2 ネイチャーポジティブやカーボンニュートラルなどについて、学生や一般市民が主体的に学ぶための環境整 備を一層推進する 2024年7月16日 東京都公立大学法人 理事長 山本 良一 東京都立大学 学長 大橋 隆哉 東京都立産業技術大学院大学 学長 橋本 洋志 東京都立産業技術高等専門学校 校長 吉澤 昌純