Page 36 - 東京都公立大学法人 環境報告書2024
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東京都立産業技術高等専門学校 校長挨拶 東京都立産業技術高等専門学校 校長 吉澤 昌純 2015年に国連サミットで採択された持続可能な開発目標(SDGs)は、2030年を年限としており、早くも2/3が過ぎよう としています。 この17のゴールは、世界のすべての国々が達成を目指すべききわめて重要な項目ばかりですが、国家としてはもちろんのこ と、各自治体での積極的な取組が期待されています。 東京のような大都市では、資源やエネルギーを大量に消費しますし、利便性と引き換えに自然を侵食し、さらに新たな感染 症による被害も発生するなど、規模の大きさゆえの課題が多く存在し、産学公民をあげての取組が求められています。 産技高専では、長く東京の課題解決に貢献する実践的技術者育成を行ってきました。中学校卒業後の早い年齢段階から5年 間(専攻科進学の場合7年間)の実践的専門教育を行い、産業界のいろいろな場面で活躍できる、更に科学技術の急速な高度 化、複合化、グローバル化の中、それらに迅速に対応できる応用力や想像力を併せ持つ技術者の育成を目指しています。これ はSDGs17のゴールにあてはめると、「9 産業と技術革新の基盤をつくる」ことであり、また「4 質の高い教育」でもありま す。更に技術力を身に付けた女性エンジニアは社会において「5 ジェンダー平等」を獲得しやすいと考えられます。そして省 エネカーや人力飛行機の開発に取り組む学生たちは、「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」利用する意識を持って います。このように、本校が行ってきた教育活動は、SDGsと親和性が高く、これからもその実現に向け、役立つものである と確信しています。 さて、2025年度から品川キャンパスの電気電子工学コースにおいてカリキュラム改編を行い、新たに電気電子エネルギー 工学コースとしてスタートします。「電気電子エネルギー工学」は、エネルギー、情報、通信、交通などの社会基盤を支える 技術分野であると考えており、加えて近年、地球規模で発生している環境問題やエネルギー問題の解決においても、中心的な 役割を果たすことが期待されています。産技高専電気電子エネルギー工学コースでは「社会情勢や技術の進歩へ適応し、持続 可能な社会の構築に貢献できる技術者」「グリーンエネルギーの創成・変換技術及びディジタル・IoT技術を理解し、ハード ウェアとソフトウェアを実装できる技術者」を育成し、大きく変わろうとしている社会を支え、貢献していきます。 本年度、この環境報告書では、産技高専の環境活動として、太陽光発電大量導入に向けた電力需給調整システムに関する研 究事案を紹介しています。また、品川キャンパスの未来工房プロジェクトにおける、温暖化をきっかけとした実証実験、荒川 キャンパスにおける飲料水に関する身近な取組について取り上げています。小さな活動ですが、学生の意識を少しずつでも変 えることができた点は、大変喜ばしいと考えています。 35